英語留学といえば、アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドあたりが候補に挙がってくるかと思います。では、非英語圏の国では英語を勉強できないのでしょうか?この記事では、2025年夏に子ども2人(10歳女子&5歳男子)をドイツの語学学校に3週間通わせたときの様子をお伝えします。
そもそも、なぜドイツ?
私は独身時代に約5年間ドイツに住んでいましたが、帰国して結婚・出産を経て毎日バタバタと過ごしているうちに、ドイツの存在は遠くなる一方。さらにはコロナ禍と円安が追い打ちをかけ、海外旅行自体が自分の生活からはすっかり消えていました。「いつかドイツの景色を子どもたちに見せてあげたい」と思いながらも、いつかはなかなか実現できないまま月日が流れ…。
でも、ものすごいスピードで成長していく子どもたちを見てふと思ったのが「一緒に旅行に行けるのって、あと何年だろう?」ということ。周りのパパママからは「子どもは中学生になると塾や部活で夏休みも忙しくなるよ」とよく聞いていたので、小学4年生の娘を長期旅行に連れて行けるのは今しかないと。そして下の子は幼稚園の年長になり、長距離フライトにも耐えられそうな年齢に。当時1ユーロは約170円で、家族での旅行代金はけっして安くはありませんでしたがが、お金よりも限られた時間を優先したいと思い、思い切って11年ぶりにドイツ・ベルリンに行くことを決意しました。3人でドイツ行きの特典航空券が取れるくらいのフライトマイルが貯まっていたことと、ドイツ人の友人宅にステイさせてもらえることになったのも後押しとなりました。
今回は6週間行きましたが、せっかく海外に長期間行くなら子どもたちに英語を学んでほしかったので、現地で英語学校を探すことに。「なんでドイツで英語なの?普通はドイツ語学校でしょ!」と何人ものドイツ人友達に突っ込まれましたが、日本で使う頻度が高いのはドイツ語よりも英語なんだもん…ということで、ちょっとレアな「ドイツでのプチ英語留学」が実現しました。

夏休みは「サマーキャンプ」を開催している学校がけっこうある
ベルリンには星の数ほどドイツ語の語学学校がありますが、英語学校の数は限られています。日本でもお馴染みのベルリッツのような英会話教室チェーンはちらほら見つかりましたが、そのほとんどが大人を対象としているか、子どもが放課後に週1回通うようなコースしか設定されていませんでした。最初は「English Language School」というワードでいろいろと検索していましたが、なかなか希望に合ったものが見つけられず、そこから切り替えて「Summer Camp」で探し始めると、いくつかヒット。そして、無事に4歳以上の子どもが終日参加できるサマーキャンプを開催する「Abrakadabra Spielsprachschule」と出会えました。遊びながら英語を学ぶ、がテーマの子ども向けスクールです。ここで3週間サマーキャンプに通うことになりました。英語レベル(もちろんドイツ語レベルも)は問われないのが嬉しいポイント!
ちなみに、名前こそサマーキャンプですが、泊まりがけのプログラムではなく毎日通学するスタイルです。もし我が家と同じように「夏休みに子どもにプチ英語留学を」と考えているなら、このようにサマーキャンプを探してみるとけっこう見つかるかもしれません。
Abrakadabraのサマーキャンプは1週間単位で予約でき、長期割引や早割もありました。授業時間は平日の9時~16時半。ランチ込みなので、親は送迎をすればあとはフリータイムです。サマーキャンプは年齢別で2つのクラスに分かれており、姉と弟は午前中はそれぞれのクラスで過ごし、歌やお絵かき、ゲーム、ワークシート、金曜に親に見せるための短い劇の練習などをしながら英語を学びました。そしてお昼になると全員でランチをしに近くのカフェテリアまでトラムで向かい、帰りはそのまま歩いて近くの公園に遊びに行くというのが一日の流れでした。週のうち2回は遠足があり、博物館や交通公園、噴水などにも連れて行ってもらえました。

参加者は8割が現地に住むドイツ人
参加する子どもの8割は現地に住むドイツ人でした。多くのドイツ人は英語が得意なイメージを抱いていたので「みんなペラペラだったらどうしよう」とドキドキしながら初日行ってみると、案外英語を話せている子どもはほとんどいませんでした。やはり幼児や小学生くらいから英語が自然と話せるようになるのではなく、私たちと同じで、学校でしっかり勉強して習得していっているのだなと安心できました(英語とドイツ語は同じゲルマン系言語のため、ドイツ人のほうが英語習得が早いのは事実ですが)。
そしてあとの2割は、中東やアジアなどの非英語圏からベルリンに引っ越してきたばかりの外国人。その子たちは秋からドイツの学校に通う予定だそうですが、まずは英語を覚えたいと考えていたようです。あとは、ドイツ人とハーフの子どもたちもちらほらいました。我が家のように旅行中に参加している子どもはいませんでした。
先生は英語ネイティブではない場合も
ドイツのような非英語圏の国の場合、英語を教える先生が英語ネイティブではない場合があります。私は詳しく聞きませんでしたが、今回子どもたちに教えてくれた先生方も多分英語ネイティブではなく、発音や雰囲気などからドイツ人、トルコ人、南米の人だったのではと感じています。ただどの先生も英語が流暢で、子どもと接することに慣れていて、毎日一生懸命に英語を教えてくれていました。参加者とドイツ語で話すような場面も見られませんでした。
もしどうしても英語ネイティブの先生に英語を教わりたい場合は、先生がネイティブかどうかを事前に確認したほうがよいでしょう。
また、子どもたちが参加した3週間のサマーキャンプでは、下の子のクラスの先生2人は毎週代わり、上の子のクラスの先生1人は3週間すべて一緒でした。このように先生がころころ変わるのも外国あるあるなので、気になる方は確認することをおすすめします。
注意するべき点
参加前にホームページや学校からのメールで隅々まで確認したのですが、書いてなかったことや後から驚いたことも多くありました。そのいくつかをご紹介します。
姉弟がけっこうくっつけられた
今回のサマーキャンプでは、午前中のクラス内のアクティビティは年齢で分けられていましたが、外でのランチタイムや公園遊び、週2回の遠足はクラス合同でした。参加してからそれを知って、嫌な予感が的中…弟が姉にずっとべったりだったようなのです。我が家は上の子が日本で少し英語を習ってましたが、下の子はまったく初であり、また内気な性格なのもあって、弟が常に付いてきていたとお姉ちゃんが話していました。学校には「なるべく姉弟を離してほしい」と話しましたが、やはり全く英語が話せない弟を1人でぽんっと放つよりもお姉ちゃんといたほうが学校としても安心なので…というのが言い分でした。お姉ちゃんはもっと英語で友達と交流したかったようなので我慢させてしまい…お姉ちゃんごめんね!
きょうだいで参加する場合、一緒にいてくれたほうが安心だと考えるご家庭であれば問題ないと思います。ですが、我が家のようにきょうだい離れて英語漬けになってほしいと願う場合は、切り離してもらえるのか確認したほうがよいかもしれません。
子ども用の電車チケットが必要だった
私たちはベルリンで親が子どもを無料同伴できる公共機関のチケットを使っていたのですが、サマーキャンプでは子どもたちだけで電車やトラムに乗る機会が多く、別にチケットを買って持たせる必要がありました。街によっては期間中に乗り放題のチケットや回数券などいろいろな種類があると思いますが、毎日電車に乗らない場合もあるので、どのようなチケットがベストなのかを先に探しておくとよいでしょう。
みんなランチの他におやつを持たせていた
これはお国柄なのかもしれませんが、ドイツの学校ではランチの他に「おやつタイム」があるようで、サマーキャンプでもみんな毎日ランチボックスにおやつを詰めて持っていってました。私はこれを知らなかったので、初日におやつを持たせず子どもがしゅんとなってました(汗)。速攻でランチボックスを買いに行き、次の日からはバナナやプロテインバー、ハリボーなどの軽食を持たせました。学校の持ち物には特に書いておらず、必須ではなかったのですが、こういった「その国の当たり前なこと」が抜けていないかどうかは確認すると安心です。
現地の電話番号が必要だった
今回は旅行だったので現地の電話番号はいらないだうと思っていましたが、学校からは緊急連絡先として電話番号を教えてほしいと言われました。もちろん、日本の携帯番号ではなく、ドイツの番号を。そして実際に電話がかかってきたこともありました。現地では安いSIMカードを買うなどして、番号を用意しておくことをおすすめします。
ドイツで英語は勉強できるのか?
ドイツでは英語を話せる人がとても多いです。特に国際都市ベルリンにはアメリカやイギリスなどの英語圏から移住してきた人も多く、若い人は国籍を問わずみんな英語が上手です。しかし、普段使うのはやはりドイツ語。特に年配の人だと英語を話せないことも多く(反対に、べルリンにはその歴史から、ロシア語を話せる人が多い)、スーパーや駅などで英語を話すと「ドイツにいるならドイツ語を話してよ」とあからさまに嫌な顔をされることだってあります。ですから、いくら語学学校で英語を勉強しても、一歩外に出ればドイツ語の世界が広がっています。
私たちのホームステイ先の夫婦も英語が片言なドイツ人なので、私と彼らの会話はドイツ語です。ですから、彼らに子どもと話すときは英語を使ってもらうようお願いすると、お互いに片言同士でゆっくり話していたので、しっかり意思疎通ができていました。あとは私のドイツ人友達と遊ぶときは英語を話すようにお願いして英会話の機会を増やしたり、観光地に行って英語を話したがっているドイツ人に話しかけたり、英語話者が集まるイベントに参加したりもしました。やはりドイツは普段の生活の中で「勝手に英語を覚える」環境ではないため、ちょっとした工夫が必要です。
でも一番効果的だったのは、学校帰りに子ども同士で公園で遊ばせることでした。外国から来た子供同士が会話する手段は英語しかないので、お互いに習いたての英語やジェスチャーを使いながら遊んでいる姿には感動しました。上の子はトルコの女の子と、下の子はインドの男の子と仲良くなり、いつも楽しそうに遊んでいました。親同士も会話は英語なので、みんなでごはんを食べに行ったりすると片言でもみんな英語で話していました。

結論、ドイツで英語をさせてどうだったか?
英語を「しっかり勉強」するなら英語圏一択だというのが私の感想です。英語は学校の中で勉強するだけでなく、外の世界で実際に使うことで磨いていくものなので。ですが、英語初心者の子どもにまずは慣れてもらうことや、新たな文化を経験させること、外国の友達との交流を楽しんでもらうこと、海外を好きになってもらうことが目的であれば、ドイツのような非英語圏で英語学校に通うことは十分おすすめできます。そして、ドイツで英語を勉強しに来る子どもは住んでいるドイツ人がほとんどなので、ドイツ人友達を作ることができるのもメリットです(私はかつてドイツ語学校に通っていましたが、そこでは多くのドイツ人以外の友達ができました)。
うちの子どもたちは、この3週間が本当に楽しかったようです。3週間で英語が特段上達したわけではありませんでしたが、ドイツや外国の子どもたちと友達になり、いつもと違う風景を見ながら電車で通学し、日本とは違うランチやおやつを食べながらみんなで笑い合う、という日本ではできない経験が本当に貴重だったようで、また来年も行きたい!と話しています。

